少し前になってしまいましたが、話題性が抜群なことがあったので、せっかくなのでスタッフ日記に残そうかと、久しぶりに登場したいと思います。
それはずばり乾選手の話です。(リーガエスパニョーラのSDエイバル所属)カンプノウでホームのバルセロナから2得点をあげたことはサッカーをしている人なら記憶に残る出来事でしょう。
しかも4月にはスペイン国王来日時の食事会に招かれるなど、ニュースなどでも見た人もいるのではないでしょうか。自分もテレビやネットで見て、いやーすごいビックネームになったもんだなーと思っていました。
乾とはマリノスで2年間ぐらい共にプレーしたので当時の思い出が浮かんできます。乾がマリノスに野洲高等学校から大きく取り上げられながら入団したのが10年くらい前。当時注目されたセクシーフットボールなんて言葉は聞いたことがあるのではないでしょうか。
もちろん能力、センスはたしかなものがあったのですが体の線は細かったように記憶しています。私が1番印象に残っていることは気持ちの強さというか上昇志向の強さです。
特に注目度の高い新加入の選手は、記者会見や取材が多くあり(注目度によりますね。自分は少なかった・笑)、今まで私が見てきたのは「少しでも早く試合に出られるようになりたい」、「試合で活躍してチームに認められたい」、「何得点、何アシスト目指します」などまぁいわば安パイな発言がほとんどだったのですが(高卒ならなおさらですよね)、いきなり乾は「Jで活躍して2年で海外に行きます」(2年でスペインだったかな・・)と語り、すげえこというなー、ビッグマウスかなと思っていました。
案の定その後の練習ではすぐにそのネタでいじられており(特に中澤選手に)、もともと素質があったのか早くもいじられキャラとして確立、チームからも愛されていました。しかしその発言も今となっては現実となっており、海外でサッカーがしたいという誰もが持つであろう思いと、自分のサッカーに自信を持っているからこその強気の発言だったのでしょう。
1年目からコンスタントに試合に出ているということは、マリノスもビッククラブですからなかったとは思うのですが(もちろん自分とポジションがかぶっていたので簡単に譲るつもりもなかったし)、でも高卒すぐでメンバーに絡んでくるあたりすごいやつだと思っていました。
プレーで特にすごいと思っていたのがトラップ・ファーストタッチの正確性。乾選手の代名詞は切れ味鋭いドリブルやスピードを想像すると思いますが、私はそのドリブルにつながる1つ前のタッチが乾の1番の武器ではないかなと思っていました。もちろんキレやドリブルスピードはかなり高いのですが、やはりJ1トップで体をぶつけられ潰される場面もありました。でもドリブラーにしてはかなり少ないのではないかと思っていました。
これは単純に私の思い込みなのですがファーストタッチが正確で優位な場所に置ける(相手が体に触れることができない位置)、その状態で抜群のキレでドリブル開始という印象や場面が今日記を書いている時にもはっきりと頭に浮かんできます。
ファーストタッチ・トラップが良いのでDFが当たれない、無理に当たりにいけばファールになりそうな位置に止められる。もしくは当たりにいかなければスピードに乗った状態のドリブルを処理しなければいけないという最強の二者択一の状況を作るのがうまかった。それも全ては彼のファーストタッチが生んでいるのではないかと・・・(たいしたことない選手だった自分が勝手に上から目線で語らせてもらいました)。
乾とはベンチウォーマーでサブとして試合時にベンチで一緒にいることも長かったし、メンバーに絡めない時の居残り練習などの期間を長く過ごしたり、またお互い試合に絡めずに当時のJ2、サガン鳥栖とセレッソ大阪に移籍した後も勝負しあった仲でもあるので今後も是非活躍してほしい反面、サッカープレーヤーとして今の乾に対して羨ましさや、悔しさなども感じています。
最近の代表で10番を着けていた乾選手、コンサの河合竜二さんや早坂、兵藤などもそうですが昔のチームメイトが活躍していると頑張ってほしいと素直に思う反面、また自分自身がJの舞台でやりたいと非常に心を刺激してきます。その刺激をうまく子どもたちに伝えていけたらと思っています。 | |