また、こちらは、時効なので許されると思いますが・・・。
今回もコロナ前のある日の試合中(ミドル・シニア部門)のエピソードです。
ベンチで采配をしていたヨシノリコーチが、ベンチ内のある選手を指名し、「あと5分ぐらいで交代するから、(慌てずに)準備して体を温めておいて」と伝えます。
その選手は大事な場面での交代出場を意気に感じて、準備もアップも入念に行っています。そして、5分が経ち「準備万端です! いつでも行けます!!」、上着をサッと脱ぎ捨てると、他の選手からも「よし! 頼んだぞ!!」と、気持ち良く送り出されます。
それを横目で見ていたヨシノリコーチは、「残り時間を考えながら、(気持ちが空回りしないよう本人も)、慌てないようにプレーするようピッチ内で落ち着かせて」と、伝えます。本人は「もちろん分かってます! その役目はこの落ち着き払ったベテランに任せてください!!」と、颯爽とピッチに入ります。
その頼もしい声を聞いて、スタッフとして入っていた私も勝利を引き寄せてくれそうな雰囲気をベンチで感じ取りました。既にヨシノリコーチは次の選択肢を考える為、ボードを持ちながら他の選手と話し始めています。
そしてピッチに入ったその期待の選手がボールに触ったかどうかの数分で、ヨシノリコーチが静かに動きます。「田古嶋さん、(今出たばかりの)あいつ引っ込める・・・次の選手の交代直ぐに準備させて・・・」。ヨシノリコーチが小声だったのと今出場したばかりの期待の選手を引っ込めると言い出したので、私は「えっ? 今出たばかりのあの選手ですか!?」と、聞き返しました。
すると、ヨシノリコーチは「うん。ありゃダメだ・・・」と、数分で交代させるという判断とその発言はサッカー経験40年を超えるベテラン指導者としてはあるまじき姿とも思えました。
当然、出場後数分で交代させられた形のその選手も肩を揺らして憤慨しながらベンチに戻ってきます。いつもは礼儀正しいその選手もぶぜんとしながら「柴田さん! なんで俺が交代なんですか!!」と詰め寄ります。しかしヨシノリコーチも相手が大人の選手なので「いいから黙って座ってろ・・・」。子ども相手には決して見せない厳しい回答をします。
その対応にますます選手は熱くなり、「どうしてなんですか!!」とベンチ外に漏れる声で回答を求め始めます。すると振り向いたヨシノリコーチも「いいからユニホームを脱いでベンチで頭を冷やせ!」と、声のトーンが強くなりました。
その迫力に選手も落ち着きを取り戻し、ベンチも静まったところで、ヨシノリコーチがその選手に「ところでお前、何番?」と、ピッチを見ながら目も合わせずに聞きます。「え? 今更何の話ですか! 〇番ですよ!! 何年同じ番号でやってると思ってるんですか!」。再びヒートアップします。
ヨシノリコーチは「あ? だったら今着ていたユニホームの番号見てみろ!!」。すると、その選手は「えっ!? あれ?? 本当は〇番なのに、自分の番号とちがーう! むしろ僕は誰のユニホームを着て出てたって言うんですか!?」。
その瞬間ベンチのスタッフ、選手一同「知らねーよ!!」と、つっこんだのは言うまでもありません・・・。
話が長くなり、状況が分かりにくかったかもしれませんが、単純にその選手は、ベンチにあった他の選手のユニホームを間違えて着て(張り切って)試合に出場してしまい、慌ててベンチに下げさせたというオチです。ちなみに昔話のおじさんサッカーということでお許しを・・・。 | |